「チョムスキーの教育論」

 これだけ直截に「教育」に背中から切りつけた書物はないだろう。チョムスキーは現在の民主主義が畢竟「ビジネスエリートが支配する統治システム」を維持する装置だと喝破する。そのためには支配される側(購買者=消費者)にはできるだけ「物事を自立的に考えない従順な民衆」でいてもらわなくてはならない。そしてこの装置の中では教師や政府、経済界寄りの教師たちも、この支配権力に奉仕する駒のひとつでしかない。換言すれば「家畜化モデル」、「植民地モデル」、「愚民化教育」である。
 この支配装置を維持するためにはもちろん歴史の捏造も行われる。そしてメディアはこの支配層(=企業家階級)から発するメッセージに対する民衆の「同意の捏造」のための装置である。
「家畜化教育」を乗り越えて真の知識人は「真実」にのみ奉仕し、自らの知的責任を果たさなければならない。
 以上要約。付け加えることなし。いや、一言。日本の教育では英語が話せないのは、つまり日本人の口封じ政策に英語教育が奉仕しているからだ。

チョムスキーの「教育論」

チョムスキーの「教育論」