とあるミュージカルを見まして・・・

とんぼ氏:ミュージカルを見てきたよ。あえて何を見たか、言わずにおくよ。で、思ったんだが、日本でのミュージカルのプロデュース公演は危機的な状況にあるのではないか?
メガネ君:四季とか宝塚とか、劇団公演としてやるものじゃなくて、寄せ集めでキャストを組むもののことだな。
と:ファンも多いから、元宝塚スターを主役にして何とかしようとするんだが、まるでピリッとしたところがない。空疎きわまる。
メ:体制的に限界があるんじゃないのかな。
と:そもそも、私も芝居歌は作るほうなんだが、ミュージカルの日本語歌詞の、あのアクセント無視のひどさには閉口するよ。こんにゃく座の影響が強いから余計にそう思うんだけどね。毒にも薬にもならない歌詞には耐えられない。
メ:あんたのは、毒ばっかりだもんな。オペラの世界じゃやっぱり日本語じゃ無理なんで、原語上演が常識になったんだろ?
と:ああ。歌手も国際編成になったからね。でも、やっぱり軽喜劇(オペレッタ)なんかは、日本語に訳して歌ってほしい気もするな。でも、それは「語り」の延長としての歌という位置づけだからだろうね。ミュージカルも「語り」ではないから、日本語では難しいな。
メ:芝居はどうなんだ。
と:下手だ。芝居の部分だけ取り出したら、高校演劇のほうがはるかに質が高い。やたら力をこめた手振りばっかり。演劇的内容がない。
メ:ミュージカルの難しさは、なによりも劇場いっぱいに高揚感がみなぎらないといけないことだろうな。
と:はは、そりゃ日本ではないものねだりだ。ああ、徒労感ばかり残ったね。