0022 歌 Que c’est beau la vie !

0022 歌 Que c’est beau la vie !
今回はとてもポジティブな希望を歌った曲をさがしてきました。ジャン・フェラが歌った「人生って美しい!」です。頭のqueは感嘆詞です。何気なく始まりますが、後半でグッと味わいが出てくる曲です。
Que c’est beau la vie
Jean Ferrat

Le vent dans tes cheveux blonds
君の金髪に風が吹く、というこの1行で恋の歌だと気づいたら恋愛中毒のあなたかもしれません。フツーはまだ分かりません。
Le soleil à l'horizon
太陽が地平線に。まさか水平線じゃないでしょう。そしてまさか明け方じゃないでしょう。夕暮れの光景です。
Quelques mots d'une chanson
歌のひとふし、が聞こえてくるのか、口をついて出てくるのか。
Que c'est beau, c'est beau la vie
人生って美しい、のですからだんだんイメージがまとまってきましたね。風も気持ちのいい、そよ風です。

Un oiseau qui fait la roue
鳥が羽をひろげ、faire la roueっていう熟語です。
Sur un arbre déjà roux
木の上に1羽いるイメージですが、木はすでに赤茶色です。どうしてでしょう、夕暮れに染まっているからです。
Et son cri par dessus tout
その鳥が高いところで鳴くのです。夕暮れに鳴く鳥といえばカラスが定番ですけど、やっぱり次の行で人生は美しいって言ってますから、カラス説は正解ではないでしょうね。じゃあ、どういう鳥なんでしょうかね?・・閑古鳥?
Que c'est beau, c'est beau la vie.

Tout ce qui tremble et palpite
震えたりピクピク動いたりするものすべて。これは若さの象徴として解釈できます。
Tout ce qui lutte et se bat
戦うものすべて。前の行からイメージは連続しています。
Tout ce que j'ai cru trop vite
早すぎると思ってたものすべて。つまり過ぎ去ってしまった若い日のことでしょうね。アッという間ですからね。光陰矢の如し。
A jamais perdu pour moi
永遠に私が失ったと思ってたもの。これも若き日のことです。

Pouvoir encore regarder
Pouvoir encore écouter
Et surtout pouvoir chanter
Que c'est beau, c'est beau la vie.
まだ見られて、聞こえて、とりわけ歌える、
人生って美しい。と言われると、病気が治ってまた元気になったって感じですね。ここから「私」がけっこうな年なのかなと想像できます。

Le jazz ouvert dans la nuit
ここから一挙にイメージが具体的になってきます。まずはジャズが夜になると開くのです。比喩的ですけど、ジャズは夜開く、です。
Sa trompette qui nous suit
Dans une rue de Paris
パリの街なか、私たちを追いかけてくるトランペット。ここで「私たち」が出てきたので、最前から私が君といっしょに歩いていたのだと分かってきます。夜のパリにジャズがあふれてくる、って60年代のサンジェルマン・デプレでしょうかね。
Que c'est beau, c'est beau la vie.
で、お決まりの、人生って美しい!があって、

La rouge fleur éclatée
D'un néon qui fait trembler
Nos deux ombres étonnées
この3行はつながってます。パッと灯ったネオンの赤い花に、私たちの2つの影が驚くのです。寄り添って歩いてる感じが何とも言えない塩梅に漂ってきて、よろしいんじゃないでしょうか。クラブのホステスさんと同伴出勤してるおじさんの歌? ここは銀座じゃなくてパリですから、お忘れなく!
Que c'est beau, c'est beau la vie.
で、リフレイン。

Tout ce que j'ai failli perdre
Tout ce qui m'est redonné
Aujourd'hui me monte aux lèvres
En cette fin de journée
このあたりから、とっても良い詩になってきます。私が失ってしまいそうになったものすべてが、私に再び与えられたものすべてが、今日、この夕暮れに、私の唇にのぼってくるのです。もう恋なんかできないと思っていた・・でも、ですね。唇というのが歌と恋の両方を喚起してすばらしいです。

Pouvoir encore partager
Ma jeunesse, mes idées
Avec l'amour retrouvé
Que c'est beau, c'est beau la vie.
私の青春を、私の思いを、再び見出された恋人と共に分かち合える。
人生ってすばらしい。・・説明の必要なし。

Pouvoir encore te parler
Pouvoir encore t'embrasser
Te le dire et le chanter
Oui c'est beau, c'est beau la vie.
まだ君に話しができる、君を抱きしめられる、
君に言うことが、歌うことができる
そう、人生はすばらしいと。

いい歌です!