0005 追悼 林光さん

 直接のお付き合いはなかったが黒テントやこんにゃく座にこの方の才能がなかったら、と思うと本当に大切な方を失ったと思う。暮れに80歳のお祝いの会があったと聞いたのは、その晩の黒テントの納会であった。みんななぜか楽譜なんか用意して唄い始めたのは昼間にその会があったからなのだった。しかし、そのときには林さんご本人が病院だったとは聞かなかった。
 そのときに歌われた曲「うた」が素晴らしくて、家へ帰ってから愛蔵のCDを再び取り出してPCに入れていた。なぜか取り出さずに年末から今日までずっと毎日CDの表紙に写っている林さんのお顔を見ながら過ごしていたら、この訃報。今日はまたこのアルバムを聴くだろう。
 みなさんにも佐藤信の初期作品、自由劇場や黒色テント時代の自作、演出作ための劇中歌の、この比類なき叙情とユーモアを聴いていただきたい。「アングラ」と一口に括ってこれを唐十郎寺山修司と一緒にすることがどれほど愚かしいか。ご冥福をお祈りする。

魚のいない水族館?林光ソング集

魚のいない水族館?林光ソング集