0003 『積立金』第一幕を訳す

 ラビッシュ・シリーズの第2弾はフランスでも近年の上演回数が多い『積立金』である。題名はいずれ変更したいが原題はLa cagnotteだ。トランプのポーカーの前身ブイヨット(「湯たんぽ」の意味もある)に興じる田舎ブルジョワたちが、負け金を1年間貯金箱に貯めておいた。それを開けてみんなで日帰りパリ旅行をすることになる話だ。パリに行こうと思ったのはまともな歯医者を探すためという父親、恋人とのデートをたくらむ妹、結婚式の準備をする娘など、これが個性的な曲者ぞろいで楽しめる。第一幕では貯金箱を開けて金を勘定する間にさまざまな出来事が起こってなかなか勘定ができない場面が見もの、それから金の使い道を決めるための会議と投票が滑稽味を出している。引退した消防署長、金満農場主、公証人、学生、オールドミス、小娘といったキャラクターをはっきり出すと面白い。アマゾンという劇団によるフランスでの公演が一部、動画で見られるので載せる。これはとても良いものだと思う。現代的にフランスのコメディをやる参考になる。