非アリストテレス的な・・・

 フランス語などを習うとき、文法学習の体系は冠詞から始まって名詞、形容詞へと至り、不規則動詞の活用から時制を経て法に及ぶ、という暗黙の決まりがある。これは由緒正しくもアリストテレスの『修辞学』に基づく順番なのだが、かねてから「なにもそうしなくたって!」と思っていた。
もっとも、アリストテレス的秩序は最近の若者の退化気味の脳味噌には負担なので、けっこう簡略なものが大学も含めて、世間には出回っている。が、簡略化したところでこの体系そのものが解体されたわけではない。
 かねてから、もう脱アリストテレスしよう、と編集者と画策して、いよいよ来年から刊行が開始されるのが、目下、私が準備している参考書である。なにしろこの本では3人称がほとんど出てこない。主語は「私」か「あなた」だけ。名詞をいっさい使わずに動詞の基本システムを現在形と複合過去だけやってしまう。それから冠詞などの名詞まわりを勉強して形容詞へと至る。最後に会話表現で、旅行会話が覚えられるという体裁だ。
 この非アリストテレス的イノヴェーション、各言語でシリーズ化の予定。