マリ=ポール・ベルのバルバラ

 このところ、あちこちのフランス語の授業でフランスの歌を聞かせている。全曲解説とはいかないので、サワリだけ歌詞も出して説明を加えたりしているが、教育的な配慮もあって分かりやすいものを優先させてしまうから、なかなか自分が好きな本命歌手を取り上げられない。そんな本命の一人にバルバラがいるのだけれど、歌の内容が濃すぎて教室に向かない。と思いながらネットを物色していると、マリ=ポール・ベルという年配の女性歌手がバルバラの歌を、バルバラ亡き後、カヴァーして評判をとっているのを知った。これがすばらしい。バルバラの神経質な感じがやわらげられて、たっぷりとした聞き易い味わいがある。ほかにもバルバラの曲を歌う歌手は少なくないが、ピアノの弾き語りだという意味でも、ベルこそは真の後継者と言えよう。数年前に来日して歌声を聞かせてくれたようだが、ぜひもう一度日本でコンサートを開いてもらいたい。