『ショパン 知られざる歌曲』小坂裕子

とんぼ:ショパンの歌曲に着目して、それを軸にしてショパンの生涯を語る、という面白い本だ。生涯の追い方としてはオーソドックスなのだが、人生の局面が歌曲のトーンにくっきりと現れているのは、これは面白い発見だろうね。
メガネ:せっかくだから何曲か聞かせてくれよ。
と:じゃあ、そうしようか。まずは5番「彼女が好きなこと」。ポーランド時代の初恋の歌だ。

メ:なかなか良いじゃないか。繊細で陰影もある。さすがショパンだな。
と:で、次はパリからの望郷だ。3番「悲しみの川」。

メ:マズルカの世界と近いな。
と:その通り。そして前にも書いたがマリアという女性への求婚がある。14番「指輪」だ。

メ:ふ〜ん。
と:そしてマリアとの破局から、サンドとの出会いと生活のなかで書かれたのが8番「美しき若者」だ。

メ:いやあ、なるほど、生き返っちゃったね。ショパンさんってのは、分かりやすい男だね。
と:純粋なんだ!ところで、ショパンと歌との関係で、この本で学んだのはポーリーンというすぐれた声楽家がいて、彼女がショパンのマズルカ6曲に歌をつけているんだそうだ。いつか聞いてみたいな。さて、駆け足だがサンドとの別れがやってくる。11番「二人の死」だ。

メ:悲しいね、これは・・・
と:そして、心を正して聞いてもらたいんだが、絶唱とも言える最後の歌曲、9番「メロディ」。この透明感と、緊迫感は胸にせまるものがある。

メ:いや、面白かった。ありがとう。
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