『瞑想ヨーガ入門』 綿本彰著

とんぼ:直接の師弟関係なんて言ったらおこがましいけど、綿本先生は一応、私の唯一の趣味らしい趣味、ヨーガの先生だからね。
メガネ:「瞑想ヨーガ」って言うんだ。
と:そうさ、綿本ヨーガの目的は自他を超えた、我の素材そのものとしての「意識」の状態を体験することで、大宇宙と小宇宙の合一をめざすことにある。
メ:難しいんだね。かえって肩がこらないか?
と:余計な心配をするな。ヨーガを始めてからずいぶん肩こりは改善されたよ。
メ:そりゃ良かった。
と:綿本先生はヨーガについてのハウ・トゥものみたいな本もたくさん書いているが、そういうのばかりではなく、何冊かはその背景となる東洋哲学を解説したものだ。この本はそのうちでもいちばん、まとまった論述の本だ。
メ:インド哲学か?ありゃ難しくてかなわない。
と:もちろん難しいが、この本はその本質を卓抜な比喩で語ってくれているのがいいんだよ。たとえば、私たちの生きている現実の、というか「現象」の世界は「波」の世界なんだ。「心」も、その「現象」のなかに生起することなのだ。その「心」を止滅させることで、波を否定した「海」そのものにたどり着く。それが瞑想だ。
メ:だったら、黙って座ってればいいじゃないか。
と:鋭い指摘だな。綿本先生の考え方の根っこに触れる問題だ。現代人には坐っての瞑想よりも、集中を要する動きやポーズをとりながらのほうが呼吸と身体をコントロールすることができる、という考えだ。
メ:師曰く、か。
と:まあ、そういうことだ。まだ、全然そんなことまで体験的に納得できるまではいかないけどね。この本で理論的骨格を知っておく利益ははかりしれないな。私が直接指導を受けているヨーガの先生は綿本スクールの先生でもあるんだが、その先生はこの本を読んで綿本先生の門を叩いたという話だ。
メ:そりゃあ、いい話だ。人生を変える力を持つ1冊の本には、敬意を表するよ。

瞑想ヨーガ入門

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